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APPLY ME①

作/山本ひとみ
画/ジョン・テニエル
改変/山本ひとみ




アリスは家まで続く道を息せき切って走りながら、白うさぎや、チェシャ猫や、帽子屋や、
ハートの女王やグリフォンや・・
とにかく出会ったたくさんの、不思議の国の住人たちの事を思い浮かべていました。

あまりに急ぎ過ぎたのでアリスの右足と左足は先を争って、
こんがらがって何度も転びそうになったくらい。

だって夢はいつだって起きると消えてしまうものでしょう。
だから夢の記憶を忘れてしまわないうちに、早く帰ってママに話しておきたかったんですもの。


アリスは近道をしようと植え込みの間を身を縮めてくぐり抜けました。
ポケットに赤い花が引っ掛かって、首元から折れてぽとりと地面に落ちてしまった時は

「ああ! やっちゃったわ! なんて事・・ごめんなさい花さん」

と一瞬反省したけれど、とにかくアリスは先を急いだの。
夢の内容を忘れないように、不思議の国の住人の名前を繰り返しつぶやきながらね。


そうしてようやくお家にたどり着いたアリスは、勢い良く玄関の扉を開けました。

「ママ、ママ聞いてちょうだい。あのね、あれが全部夢だったなんて信じられると思う?!」


けれど部屋の中には誰もいません。
ポットからは温かい湯気が立ち上り、辺りには紅茶の香りが満ちていました。
テーブルの上にはママの手作りのおいしそうなクッキーが乗っています。

そしてその横には"APLLY ME"「わたしを塗って」と書いた札が結び付けてある、小さな瓶がありました。


「まぁ! あの瓶は見たことがあるわ」と、アリスは叫びました。
「そうよあたしを何度も巨人にしたり猫ほどの大きさにした小瓶だわ」

アリスは、ぷぅっとほっぺたを膨らませて言いました。

「"塗って"ですって? おあいにく様、あたしはあんたが毒よりも危険な事、
知っているんですからね」



apply me アリス


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